イクメンに抗う

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史上最高のレジスタ 元イタリア代表 ピルロのミラン時代

※これは2003年、ピルロが23才、ACミラン在籍時に書いた記事です。

WCCF 02-03白黒カード 152 アンドレア・ピルロ

 

パス

僕の好きなサッカー選手のタイプは、ベタですがファンタジスタ系やパサー系の選手達です。
メジャーなところを挙げると、バッジョジダン、ルイコスタ、ヴェロンなどなど、まあその辺ですかね。


ですので、試合を観る時に一番注目して観るのはパスです。

パスというのは、最もサッカーで重要な技術です。
例えば、足が速い選手でも強く蹴り出されたパスには追いつくことはできないですし、高くジャンプ出来ても大きく蹴り上げられたパスには届きません。
ベッカムのセンタリングが凄いと言われるのは、まさにそれで、ドライブをかけたパスを送ることによって、ボールの軌道が敵のDFが届かない高さで通過し、1m後ろにいる味方FWにピタリと合わせられるのです。

 

また、パスは一人では出来ません。パスの出し手と受け手がイメージを共有してこそ成り立つのです。
それが難しい部分でもあり、選手の技術やセンスが問われる部分でもあると思います。

 

さらにパスには、パスを出すタイミングやもらうための動き、その他トラップの正確性など多くの要素が絡むので難しいんです。
まあ簡単にいうと、パスが上手い選手が多いチームというのは相手よりボールを長く支配できるわけで、そうすれば相手が攻める時間が短くなって、自分達のチャンスが多くなり、有利に試合を進められるというわけです。
(ただ、ボールを長く支配できても点が獲れず、逆に一発のカウンターでやられてしまうということもあります。これが有機的なスポーツであるサッカーの面白いところでもあるのですが・・・。)


ACミランピルロ

で、今回紹介しようと思うのはACミランのMFピルロです。
まだイマイチ世界的には知名度が低いピルロですが、今季、スーパースター揃いのミランの中でレギュラーを獲得し、評価を高めています。
その彼を今回ピックアップしてみようと思います。

 

まず、僕がピルロという選手を初めて見たのは、2000年のシドニーオリンピックです。
彼はイタリア代表の10番を付け、トップ下として大会に参加していました。

 

知らない人のために説明しますと、オリンピックはW杯と区別をつけるため、23歳以下の選手(+オーバーエイジ3人)しか参加できません。
つまりU-23代表の世界大会です。(ちなみに日本は中田・中村・高原・稲本などが参加。)

 

そのU-23イタリア代表で、ピルロは次世代のエース、ファンタジスタとして紹介されていました。
しかし僕が見た印象では、テクニックはあるものの、A代表のトッティなどに比べるとイマイチ迫力にかけるという感じでした。
結局イタリアはベスト8でこの大会を終えます。

 

次に彼を見たのは、00-01シーズンのセリエAの試合でです。
バッジョ率いるブレシアピルロはいました。(どうやら所属していたインテルから、出場機会を求めてレンタル移籍していたようです。)
しかも驚いたことに、ピルロバッジョと同時に試合に出場していました。
イタリアでは基本的に10番タイプの選手を同時に使うということはタブーとされているのに、この試合では1トップの後にバッジョがいて、その後にピルロという形で共存していたのです。
彼のポジションはトップ下とボランチの間といった感じで、正確なキックでボールを前線に供給していました。
この頃から彼の真の才能が開花しつつあったように思います。

 

そして迎えた今シーズン、ピルロはACミランにいました。
ミランにはもともとポルトガル代表のルイコスタという絶対的な存在がトップ下のポジションに君臨しており、さらにオフにはブラジル代表リバウド、オランダ代表セードルフといったトップ下のできるビッグネームが移籍してきたため、ピルロのポジションはないように思われていました。
しかし彼は、このミランの中でなんとボランチとしてレギュラーを獲得したのです。

 

守備的なサッカーと揶揄されることもあるイタリアでは、普通ボランチに無尽蔵に激しくプレスをかけ、時に汚いプレーをしてでも相手の攻撃の芽を摘めるような選手が選ばれます。
しかしミランでのピルロの仕事は、彼のトップ下としてのテクニックや正確なキックを活かし、DFが奪ったボールを前線やサイドに供給するのが主な役割です。
これにより、ミランのパス回しがスムーズに行われ、味方の選手が良い形でボールを受けて攻撃を行うことができるのです。
ミランのそのイタリアらしからぬパス回しを主体とした創造的なサッカースタイルは、多くの批評家に絶賛されています。

 

最初に、パスについて色々語りましたが、今シーズンのミランの成功は、間違いなくこのピルロボランチ起用によるパスサッカーへのスタイルの変換が一番の要因です。
ピルロミランでの活躍を買われ、代表でもポジションを獲得しつつあります。)
イタリアでは、中盤の下がり目から前線にパスを供給する選手のことを、「レジスタ」と言います。
今季、ミランはリーグ優勝を逃したものの、チャンピオンズリーグの決勝に駒を進めましたので、この最高の舞台で、若きミランレジスタピルロに注目してみてはいかがでしょうか!

 


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